未来を生き抜く力を育む
“探究「シブヤ未来科」”で環境学習プログラムを実施

環境先進STORY

DATE 2024.11.29

  • #サステナビリティ

これからの世界を生きていく上で子どもたちに必要な力は何か。子どもの年齢や、国内外問わず真剣な議論が行われる昨今、東京都渋谷区では探究「シブヤ未来科」という取り組みが公立小中学校で2024年より本格始動しました。従来の総合的な学習の時間を約2倍に拡大し、自ら問いを立て、他者と協働的に課題を解決するといった探究的な学びに注力するほか、学校内にとどまらず地域・企業・専門家等と協力しながら街全体をフィールドとして活動するものです。その協力企業のひとつが東急不動産ホールディングスです。今回は、東急不動産ホールディングスグループである、東急不動産のリソースを活用して実施したプログラムの内容を当グループの担当者が紹介いたします。

PROFILE

児玉 智美

東急不動産ホールディングス
グループサステナビリティ推進部 企画推進室

探究「シブヤ未来科」って?

まずは探究「シブヤ未来科」についてもう少し詳しくご説明します。目的は「自ら考え判断して学び続ける自己調整力」「多様な仲間と協働して新たな価値を生み出す想像力」「自分が思い描く未来を実現する挑戦力」という3つの能力を育むこと。

従来の授業では、皆が一斉に同じ内容のことを同じペースで学びますが、これでは「興味がないから覚えられない」「授業についていけない」といったこともあります。しかし、一人ひとりがそれぞれのペースで、それぞれの興味の方向で学ぶことで、「面白い!」「もっとやりたい!」と自律した学習者になってくれるはずです。

午前中は国語・社会・数学(算数)・理科といった基礎的な教科を学び、午後は子どもたちが学びを創造する時間として、その基礎知識を元にし、自らの興味や日常生活での疑問などを“探究”していきます。

当グループでは、全力で取り組んでいる環境問題・サステナビリティの取り組みについて、大切なステークホルダーである「未来社会」の子どもたちや先生、保護者などに知ってもらうことに加えて、環境問題を学び行動変容につなげる機会にしてもらいたいという思いからプログラムを提供しています。その中でも、東急不動産が持つリソースを活用して2024年度に実施した2つのプログラムをご紹介します。

「子ども社会体験科 しくみ~な
@渋谷区立加計塚小学校・笹塚小学校

「子ども社会体験科 しくみ~な(以下、しくみ~な)」は、株式会社日本総合研究所がオリジナルで作成した社会・経済・仕事の仕組みを主体的に学べるプログラムです。

子どもたちが、地域にゆかりのある企業や公的機関が行っている仕事の一部を、ロールプレイで体験することで、社会のことを身近に感じながら自分ゴト化できるというものです。

6月から9月に計7回実施したプログラムでは、東急不動産に加え、銀行、小売業、IT企業、映像制作企業など、複数のパートナー企業が参加、それぞれに子どもが取り組む仕事を用意しました。当社は、環境先進マンション「BRANZ」の事業に関わる、土地買収・マンション企画・広報の業務のプログラムを提供しました。

子どもたちは、まず会社説明会に参加し、志望する企業への応募、面接をクリアしてようやく企業に採用されます。当社には3~4名の子どもたちが入社し、「事業部長」「土地買収」「企画」「設計」の役割に分かれて当社ブースで働いてもらいました。

活気あふれる会社説明会の様子
役割ごとに活動のヒントがかかれた冊子
地図を見て買収する土地の条件を検討
どんなマンションを建てるべきか話し合う
真剣な子どもたちの様子
子どもたちが考えた環境先進マンション

当社社員のアドバイスを受けながら、子どもたちはマンションを建てる土地を選定し、どんなマンションにするか、どのような環境取り組みを採用するかの議論を重ね、最後にアイデアがつまったマンションを伝えるためのポスターを制作しました。仕事の一部では、銀行に融資を受けるなどブース同士の関わりも見られました。屋上からウォータースライダーなど、子どもらしい大胆な発想がありつつも、再生可能エネルギーや屋上庭園・緑化などの環境取り組みもしっかり盛り込まれていました。

参加した子どもたちからは、「社会に出たらこんなに大変なんだなと思った」「一つのマンションを建てるだけでも多くの会議などが開かれ、多くの費用がかかっていることが分かった」「一人では思いつかないことを他の人と協力することで、さまざまな考えが出ることが分かった」といった感想がアンケートに寄せられ、8割以上が「楽しかった」と回答してくれました。

事業地活用「地球ひとつで暮らすワークショップ」
@渋谷区立猿楽小学校

東急不動産が開発した「Forestgate Daikanyama」内にある「TENOHA 代官山」はカフェとイベントスペースで構成され、サステナブルな生活体験を提供することを主眼に、サーキュラーエコノミー活動を行う事業者や行政と連携し、地域と都市をつなぐ活動拠点です。

その「TENOHA代官山」を学習題材として、環境学習などを手掛ける一般社団法人SWiTCHと共同で、猿楽小学校4年生を対象に「地球ひとつで暮らすワークショップ」を開催しました。
※一般社団法人SWiTCHについて詳しくはこちら

TENOHA代官山で説明を受ける子どもたち

6月~9月に「脱炭素」「資源循環」「生物多様性」の各テーマで1回ずつ授業を実施。子どもたちは、学校に近接する「TENOHA代官山」で各テーマに沿った取り組みを見学後、学校に戻ってグループワークを行い、クラスみんなで取り組むサステナブルアクションについて考えてもらいました。

ワークショップを通じて感じたことを書いたカード
メッセージカードは集めてタペストリーに

TENOHA代官山2階には、3回のワークショップごとに子どもたちが葉っぱなどの形をした用紙に書いたメッセージがタペストリーとして一定期間展示されました。

2024年から本格化した探究「シブヤ未来科」。当グループは未来を生きる子どもたちのために、環境教育プログラムを通して今後も活動に協力していきます。

  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

東急不動産ホールディングスグループは、2015年に国連サミットで採択された2030年までの「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献しています。持続可能な世界を実現するための17の目標のうち、取り組む項目を定め、SDGsを起点にサステナブルな社会と成長をめざします。本プロジェクトにおいては、上記の目標の達成に寄与するものと考えます。