※音声が流れます。音量にご注意ください。
東急不動産株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:岡田 正志、以下、当社)は当社事業所及び保有施設(※1)の使用電力(※2)について100%再生可能エネルギー(以下、再エネ)への切替えを完了しましたのでお知らせいたします。これにより、国際イニシアチブ「RE100」の要件である電力の再エネ化を達成するとともに、CO2の排出量を年間約15.6万トン削減することができます。この削減量は一般家庭約8万世帯分のCO2排出量にあたります。
「RE100」とは、世界で影響力のある企業や団体が、遅くとも2050年までに、事業で使用する電力の再エネ100%化にコミットする国際イニシアチブで、当社は2019年に国内不動産業で初めて加盟(※3)しました。国内には加盟団体が77社(2022年12月現在)ありますが、国内の事業会社(※4)で達成している企業はまだありません。当社は大規模施設を複数保有する電力需要家としての立場でありながら、1.3GWを超える発電能力を有する再エネ事業の展開を進めているという強みを活かし、100%再エネ切替えを完了するという目標を2022年12月をもって達成しました。
RE100達成に向けて、今後も再エネ利用の実績を蓄積の上、RE100事務局であるCDPへRE100達成を申請してまいります。
- (※1)
- RE100の対象範囲とならない、売却又は取壊し予定案件及び当社がエネルギー管理権限を有しない一部の共同事業案件を除きます。
- (※2)
- RE100が認めるグリーンガスが国内市場に存在しないため、コジェネレーション自家発電による電力を除きます。なお、東京ガス様が供給するカーボンニュートラルガスを採用することで、脱炭素を実施しております。
- (※3)
- 東京証券取引所市場第一部上場企業の業種分類に基づきます。
- (※4)
- 金融機関を除きます。
100%再エネ切替えができた理由
①自社で再エネ発電所を全国展開
当社は、2014年に再生可能エネルギー事業に参入し、太陽光発電所、風力発電所、バイオマス発電所を全国各地で、「ReENE(リエネ)」の事業ブランド名で展開しております。2022年12月末現在、全国86事業、定格容量1,389MWと国内トップクラスの事業規模を持つまでになりました。
固定価格買取(FIT)制度による事業に留まらず、自社の再エネ発電所の「トラッキング付非化石証書(※5)」を活用した、自社施設での再エネ導入を2021年より開始しました。当社のRE100の最大の特徴は、自社の再エネ発電所由来の非化石価値の活用にあります。
現在では、コーポレートPPA等、非FIT分野での他社への再エネ電力供給も開始しています。
事業活動を通じた社会課題の解決を目指す当社は、総合デべロッパーとして、地域の理解を得ながら大規模開発を進めてきたノウハウを活かし、全国各地で太陽光発電や風力発電などを開発し、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。
- (※5)
- FIT非化石証書(固定価格買取制度対象の再生可能エネルギー)に発電所の属性情報を紐づけし、再生可能エネルギーが由来する発電所の追跡(トラッキング)が可能となる証書。「RE100」に利用が可能。
②組織全体・外部の力を借りての導入促進
RE100の達成には、切替え対象施設の把握、各施設の電力契約や年間使用量の把握、施設の事情に合わせた再エネ化スキームの検討・構築、パートナーとなる電力小売会社の選定・協議、再エネ100%に至る行程や自社発電所の運転開始・発電ペースの突き合わせ、コストの試算、共同事業者との合意形成など、多岐にわたる要素を統合的に進めていくことが求められます。トップダウンと実務推進体制が連動し、各部署の担当者の能動的な活動により、当社の注力分野である広域渋谷圏のオフィスビル・商業施設を皮切りに再エネ化をスタートさせるなど、スピード感を持った導入を成し遂げました。
また、国内事業会社(※4)では未踏のステージであるため、RE100事務局や環境省の公式ガイダンス資料等を参考にしつつ、外部の法律事務所とともに英国のCDP担当者との協議を数か月にわたり実施するなどして、RE100の技術要件を検証してまいりました。再エネ化のスキーム構築にあたっては資本業務提携しているデジタル・グリッド社との協業や知見も活かしました。
当社は、長期ビジョンで、全社方針として「パートナー共創」を掲げており、外部の力を借りながら、環境を起点とした事業の拡大と社会課題の解決を目指し、今後も実行していきます。
③施設における営業上の効果が表れはじめたこと
オフィスビル、商業施設、ホテルやリゾート施設など運営する施設を再エネ化することは、単に自社の施設の脱炭素を図るだけではなく、施設をご利用頂くお客様へ当社が生み出す環境価値をご提供できることに他なりません。特に、オフィスビルでは、取組み当初は一部の外資系企業にとどまっていた再エネ導入ビルの選別の視点が、今や国内企業にも及ぶようになり、推進する大きな動機となっています。環境貢献できるオフィスの価値が認められ、環境が事業に直結する時代が近々到来すると感じています。今後の開業施設においても再エネ導入など環境取組みを実施し、事業活動を通じた社会課題の解決を目指してまいります。
④自社発電所のトラッキング付非化石証書の活用
FIT制度のもとで運営している再エネ発電所からは、再エネ電力の発電とともに、非化石価値が創出されます。全国で大規模展開する自社の発電所から大量に創出される非化石価値を、トラッキング付非化石証書として、自社の施設に紐づけています。
⑤非FIT発電所から当社施設への直接供給
非FIT発電所からは、再エネ電力を「生グリーン電力」として、自社の施設へ直接供給しています。今後は発電事業者としての強みを活かし、自社で発電した生グリーン電力を自社で利用するだけでなく、外部売電も視野に入れ、非FIT発電所の開発を推進し、広く世の中に再エネを供給していくことで、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
東急不動産ホールディングスグループの環境経営
東急不動産ホールディングスグループは、2022年5月、中期経営計画を策定。全社方針として環境経営を掲げ、その中で、脱炭素社会、循環型社会、生物多様性を重点課題と位置づけています。
当社は1998年に環境ビジョン(旧環境理念)を制定するなど、早くから環境経営を進めており、気候変動に対しては、2019年にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく開示、SBT1.5°C目標の設定、インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入など、RE100以外の脱炭素取組みも進めています。
特に、TCFDやICPでは、環境省モデル事業に参加し、試行プロジェクトとして検討するなど、国内の政策反映とともに自社での早期導入を推進しています。
東急不動産の再生可能エネルギー事業「ReENE(リエネ)」について
当社は、「ReENE(リエネ)」という事業ブランドで、再生可能エネルギー事業を展開しています。「Re-Creating the Value(未来に、新しい価値を)」と「Edit Next Energy(次の時代を作るエネルギーを)」という2つの志を組み合わせ、2018年に誕生しました。
これまで当社は、総合不動産デベロッパーとして都市再開発、宅地やリゾートなど大規模な街づくりをはじめ、多岐にわたる開発事業を行ってきました。地域・社会・環境にかかわる様々な課題とも向き合い解決策を模索する中で培われてきた経験はリエネの中でも活かされています。
当社は、2016年に専任部門を設立して本格的な取組みを開始しました。「脱炭素社会の実現」「地域との共生と相互発展」「日本のエネルギー自給率の向上」の3つの社会課題の解決を掲げ、これまでに開発中事業を含め全国86事業(内訳:太陽光発電事業(ルーフトップ1事業含む)71事業、風力発電事業10事業、バイオマス発電事業5事業)、定格容量1,389MWの事業に携わってきました(2022年12月末現在)。
今後も、再生可能エネルギーの成長とともに、再生可能エネルギーをベースとした地域社会へのソリューション提供を図ってまいります。
東急不動産の再生可能エネルギー事業「ReENE(リエネ)」について
東急不動産ホールディングスは、2021年に長期ビジョンを発表しました。「WE ARE GREEN」をスローガンに、誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来を実現し、価値を創造し続ける企業グループをめざします。
また、2022年5月には長期ビジョンに基づき「中期経営計画2025」を策定、「環境経営」「DX」を通じた独自性のある価値創出を図ってまいります。
貢献するSDGs
東急不動産ホールディングス
「GROUP VISION 2030」について
https://www.tokyu-fudosan-hd.co.jp/group-vision-2030/
東急不動産ホールディングス
「中期経営計画2025」について
https://www.tokyu-fudosan-hd.co.jp/ir/mgtpolicy/mid-term-plan/